全工程やり直しの八郎山トンネル施工不良問題:原因、施工業者淺川組とは、処分内容、SNSの反応など

  • 2023年12月29日
  • 2024年1月19日
  • 事件

八郎山トンネル施工不良により全工程をやり直すという前代未聞の事件が起きました。SNS上では「全工程やり直し」がトレンド入りするなど、SNSでは処分が甘いと指摘しています。この記事は、八郎山トンネル施工不良問題の概要、施工不要の原因、建設会社「株式会社淺川組」とは、県や施工会社の処分内容、SNSの反応をまとめています。

八郎山トンネル施工不良問題の概要

  • トンネル「張りぼて」問題: 和歌山県の八郎山トンネルにおいて、ほぼ全ての工程がやり直しとなる事態が発生しました。このトンネルは完成したと思われていましたが、実際にはその構造が不十分であることが判明しました​​。
  • 覆工コンクリートの厚さ不足: この問題の原因は、トンネルの覆工コンクリートの厚さが大幅に不足していたことにあります。このため、掘削を除く全ての工事がやり直しとなりました​​。
  • 八郎山トンネルの補修: 八郎山トンネルは全長711メートルで、コンクリートの厚さが基準を満たしていないことが発覚しました。和歌山県は、安全を確保するために大規模な補修を行うことを決定しました。これにはコンクリートの剥離と骨格部分の鋼材の交換が含まれ、実質的には再建となります。これにより、利用開始が約2年遅れる見通しです​​。
  • 工事の全面的なやり直し: 工事の再開は、必要なコンクリートの厚さが30センチであるにもかかわらず、実際にはわずか3センチしかなかったため必要とされています。この施工不良により、供用開始が予定から2年遅れる見込みです​​。

このように、和歌山県の八郎山トンネル工事は、施工不良により全面的な再建が必要となり、利用開始が大幅に遅れる見込みです。

施工不良の原因

  1. 施工管理の不備:工事では、コンクリート壁の厚さ不足や、その他の施工不良が確認されました。また、支保工が設計位置からずれて設置されていることも判明しました。このような施工不良は、測量の管理不足や、コンクリート壁の厚さや支保工の設置位置の確認不足などによるものでした​​。
  2. 施工者による隠蔽:施工不良が発生したにもかかわらず、施工者は設計通りに施工したとする完成図書を提出し、厚さ不足を隠していました。この問題は、工事の進行中に施工者が気づいていたにも関わらず、適切に報告されなかったことが原因でした​​。
  3. 数値の偽装と検査の不足:工事を受注した和歌山市の建設会社「浅川組」は、県に対してコンクリートの厚さの数値を偽装して報告していました。また、トンネル工事の際にコンクリートの厚さを検査する必要がありましたが、必要な136回の検査のうち、実際に行われたのはわずか6回だけでした。このことから、施工者が意図的に厚さ不足を隠していたことが明らかになっています​​​​。

以上の点から、コンクリートの厚さが大幅に不足していた理由は、施工管理の不備、施工者による隠蔽行為、数値の偽装、そして検査の不足が挙げられます。これらの問題が重なり、トンネルの安全性に重大な影響を及ぼしました。

建設会社「株式会社淺川組」とは

  • 会社の歴史と地位: 淺川組は1922年(大正11年)に和歌山県海草郡下津町(現海南市)で創業されました。さまざまな土木、建築工事を手がけ、培った技術と信用により地域社会と共に発展してきました。同社は非上場であり、1988年に大証1部に上場したが、1990年に上場を廃止しました​​​​。
  • 会社概要: 株式会社淺川組の本社は和歌山県和歌山市小松原通三丁目に位置しています。昭和23年(1948年)12月23日に株式会社として設立されました。事業内容は総合建設業で、代表者は栗生泰廣です。資本金は3億円で、発行済株式数は600万株です。2020年5月時点での売上高は377億円、従業員数は280名です​​​​。
  • 主要子会社: 淺川組にはいくつかの主要子会社があります。これには「淺川道路株式会社」と「アサカワリフォーム株式会社」が含まれています​​。
  • 八郎山トンネル施工不良問題: 淺川組は和歌山県の八郎山トンネルの施工不良問題に関与しており、この問題により社長や現場の作業監督など8人が懲戒処分を受けました​​。

淺川組は長い歴史を持ち、地域社会と密接に関わってきた建設会社です。しかし、八郎山トンネルの施工不良問題により、その信頼が損なわれる事態に直面しています。

処分内容

和歌山県の対応

和歌山県は施工を行った淺川組と堀組の2社に対して、県が発注する工事の入札参加資格を6か月間停止する処分を下しました​​。

淺川組の対応

  1. 現場の作業監督: 施工不良を認識しながら虚偽の報告を行ったとして、2023年8月に降格処分を受けました。
  2. 社長を含む7人の幹部: 西口伸社長や他の幹部7人は報酬減額の処分を受けました。

堀組の対応

淺川組と堀組の共同で施工したとのことですが、現時点では具体的な懲戒処分の詳細については明らかになっていません。

SNSの反応

  • 「怖すぎるだろこのニュース」
  • 「日本がどんどん壊れてる気がする」
  • 「6ヶ月の入札参加資格停止って、処分甘すぎるだろ」
  • 「経営幹部殺人未遂で逮捕して、会社解体してもいいくらいの事態だろ」
  • 「厳しく対処しないと、日本中にこういうトンネルつくられてしまうぞ」

淺川組からのコメント【2024年1月19にち追記】

浅川組などによりますと、今回のトンネル工事を担当した現場所長は社内でも経験が豊富で「トンネル工事」と言えばこの人と称される“敏腕社員だった”ということです。

所長は社内でのヒアリングに対して「覆工コンクリートの厚さが確保できないことを認識しながら、本社に相談することなく工事を進め、数値を偽装して検査を通した」と回答、また、現場の従業員へのヒアリングでは、「作業所長の判断は絶対」「所長を超えて内部通報はできない」との回答が大半だったということです。

また会見で公表されたコンプライアンス委員会の提言書によりますと、ヒアリングで現場所長は「手直しをすれば工期に間に合わなくなる。赤字にしたくない。1次覆工で強度は保たれているのでトンネルの安全性に問題はないと判断した」と話したということです。また、「何よりも自分はトンネル工事の専門家であり、本社に相談してもどうなるものではない」と回答したということです。

また、所長は『覆工コンクリートは、化粧コンクリートのようなもので厚さが足りなくても問題ない』などという発言もあったということです。この内容について報告を受けた県の担当者は「全く信じられない発言で、あり得ない」と話しました。

まとめ

和歌山県の八郎山トンネル施工不良問題は、トンネルの全面的なやり直しが必要となる前代未聞の事態で、SNS上ではこの対応が甘いとの指摘が相次いでいます。この問題は、覆工コンクリートの厚さが基準に達していないことから発生し、和歌山県はトンネルの大規模な補修を決定しました。施工不良の原因は、施工管理の不備、施工者による隠蔽、数値の偽装、検査の不足によるものでした。施工を担当した株式会社淺川組は1922年創業の和歌山市に本社を置く建設会社で、この問題により社長を含む幹部が処分されました。和歌山県は淺川組と堀組に対して、入札参加資格を6ヶ月間停止する処分を下しましたが、SNS上ではこの処分が軽すぎるとの声が上がっています。この事件は、日本の建設業界における安全管理と信頼の重要性を浮き彫りにしました。

最新情報をチェックしよう!