ついに最新研究によりつわりの原因が解明されました。本記事ではつわりの具体的な原因、GDF15とは、妊娠でGDF15が増加する理由、慢性的にGDF15が高い人の特徴、一般の声をまとめています。
つわりの原因:GDF15が高くなるため
長年つわりの原因については明らかにされていませんでしたが、最近の研究ではGDF15(Growth Differentiation Factor 15)というホルモンがつわりに関連していることが明らかになりました。このホルモンは通常、人体内に存在し、がん、加齢、喫煙などによってそのレベルが上昇するとされています。
特に注目されているのは、胎盤中のGDF15値の上昇と、妊娠悪阻(つわりの重症化)との関連です。妊娠悪阻は妊婦の約0.3〜10.8%に見られ、早産や低出生体重児と関連があり、母体に激しい吐き気、嘔吐、体重減少、電解質異常を引き起こし、場合によっては入院治療が必要となることもあります。
最近の研究によれば、妊娠第1三半期の妊婦のGDF15値と、悪心および嘔吐(妊娠悪阻を含む)の自己申告との間に顕著な関連性が見られました。さらに、母体血漿中を循環するGDF15の大部分が胎児に由来することが分かりました。また、妊娠前のGDF15値が低いほど、妊娠悪阻の発症リスクが高くなることが判明しました。逆に、βサラセミア(GDF15値が慢性的に高い疾患)の女性は、妊娠中に悪心と嘔吐を報告する頻度が非常に低かったとされています。
この研究は、2023年12月13日に「Nature」に掲載され、タイトルは「GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy(GDF15は妊娠中の悪心と嘔吐に連結できる)」です。
GDF15とは?
GDF15(Growth Differentiation Factor 15)は、人間のGDF15遺伝子によってコードされるタンパク質で、もともとはマクロファージ抑制サイトカイン1(MIC-1)として識別されました。このタンパク質は、変換成長因子ベータ(TGFβ)スーパーファミリーに属しています。
GDF15はすべての人間の体内で生成され、その血中濃度は年齢の増加、激しい運動、がん、喫煙、糖尿病治療薬メトホルミンなどの一部の薬剤によって変化することが知られています。このタンパク質の発現は細胞ストレスや疾患に応答して増加し、メトホルミンによっても上昇します。
GDF15はペプチドホルモンであり、エネルギー恒常性、体重、炎症、および腫瘍成長を調節するTGFβスーパーファミリーのメンバーです。このホルモンは筋肉、脳、心臓、腎臓、加齢における正常および病的な機能に関わっており、がん関連の拒食症やケーシェクシア、肥満治療の潜在的な治療法としての可能性も議論されています。
通常、人間のほとんどの体細胞組織ではGDF-15の生理的発現はほとんど検出されませんが、胎盤では豊富に存在します。これは、最近の研究で妊娠中のつわりとGDF15の関連性が指摘されたことと符合します。GDF15は妊娠中に重要な役割を果たす可能性があることを示唆しています。
妊娠するとGDF15が増加する理由
ケンブリッジ大学の研究チームは、胎盤のGDF15濃度が高くなる理由について、妊娠初期の女性が催奇形性因子(胎児に先天的な異常を引き起こす可能性のある物質や要因)を含んだ食物や感染性微生物を摂取するのを防ぐためではないかと考えています。これは、妊娠初期の女性の90%以上が食嗜好の変化を経験し、主に肉やアルカリ性飲料を好むようになるという観察結果とも一致します。このような母体の変化は、進化の初期段階で乳児と母親の安全を守るために役立った可能性がありますが、現代の食生活においてはその目的を果たしているとは言い難いとされています。
また、補足として「アルカリ性飲料」とは下記のような飲料を指します。
- ミネラルウォーター:ミネラルウォーターは自然由来の水で、そのpH値は商品によって異なりますが、多くのミネラルウォーターはアルカリ性です。
- 豆乳:豆乳は大豆から作られる飲料で、大豆がアルカリ性の特性を持つため、豆乳もアルカリ性です。
- 牛乳:牛乳は、そのpH値が通常アルカリ性の範囲内にあるため、アルカリ性飲料の一つとされています。
- お茶・烏龍茶:お茶や烏龍茶もアルカリ性の特性を持つことがあります。
- アルカリイオン水:アルカリイオン水は、特定の処理を通じてアルカリ性になっている水です。
- 水道水:一部の地域の水道水は、アルカリ性の特性を持つことがあります。
慢性的にGDF15が高い人の特徴
特徴
- つわりの症状の少なさ:妊娠中の女性において、GDF15が慢性的に高い場合、つわりをほとんど経験しないことが観察されています。これは、妊娠前のGDF15の値が低い女性と比較して、妊娠中のつわりが重症化するリスクが高いとされています。
- 体重減少の関連:GDF15の高レベルは、がんなどの多くの慢性疾患で見られる体重減少と結びつけられています。組織のストレスや損傷に応答してGDF15のレベルが上昇することが示されています。
- 肺疾患:GDF15のレベルは、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、肺動脈高血圧などの肺疾患における有用なバイオマーカーとして機能し、疾患の重症度、肺機能の低下、そして死亡率の予測に役立つことが報告されています。
- ミトコンドリア病の診断:GDF15はミトコンドリア病の診断バイオマーカーとして使用されており、その診断精度は感度・特異度が非常に高いとされています。
- 心疾患:GDF15は虚血性心疾患や心不全患者において血中濃度の上昇が報告されており、心疾患との関連が示唆されています。
ミトコンドリア病とは
ミトコンドリア病は、ミトコンドリアの機能低下が原因で引き起こされる病気の総称です。ミトコンドリアは全身の細胞に存在し、細胞内のエネルギー(ATP)を産生する役割を担っています。ミトコンドリアの機能が低下すると、細胞の活動も低下し、筋力の低下や発達の遅れなどの症状につながります。
ミトコンドリア病は遺伝性代謝疾患の一種であり、赤血球を除くすべての細胞に存在するミトコンドリアの機能不全が原因です。細胞内の他の構造物と異なり、ミトコンドリア内には母親からのみ受け継がれる独自の遺伝物質の一部が存在し、ミトコンドリアのその他の遺伝物質は細胞核内にあります。そのため、子どもが病気を発症するためには、両親から異常を受け継ぐ必要があります。
ミトコンドリア病の症状には、疲れやすさ、精神症状、糖尿病などが含まれ、これらはミトコンドリアの機能異常がさまざまな病気に関わっていることを示しています。子どものうちに発症するミトコンドリア病は、4分の3が核遺伝子の異常、残りの4分の1がミトコンドリア遺伝子の異常が原因ですが、大人になってからの発症では、その割合が逆転することがわかっています。
現時点では、ミトコンドリア病に対する治験で効果があると厳密に確定された治療薬は限られており、タウリン以外にはない状況です。ただし、新規化合物であるMitochonic acid-5(MA-5)は、既存薬とは異なる全く新しいメカニズムのミトコンドリア病治療薬として期待されています。
ミトコンドリア病は、神経・筋、循環器、代謝系、腎泌尿器系、血液系、視覚系、内分泌系、消化器系など、全身の多くの臓器や器官に影響を及ぼす可能性があり、その症状や重症度は患者によって大きく異なります。
一般の声
. つわりの原因解明に対するポジティブな反応
- 「つわりの原因がやっと解明された。これは女性の問題を軽んじられてきたということへの一歩」
- 「つわりの原因特定は妊娠前の女性にホルモンを投与することで重いつわりを回避できる可能性があるとのこと。救われる人が多そう」
- 「つわりの原因がわかったのはすごい!ひどいつわりがなくなると本当に凄いこと」
2. 研究の進展に対する期待
- 「つわりの原因が特定されたらしい。GDF15の値が原因ということは、今後薬も開発されるのでは?」
- 「つわりの原因が解明されたことで、治療法の開発にもつながるかもしれない。期待している」
3. 個人的な経験との関連
- 「悪阻は本当に嫌だった。2人目が欲しくない原因の1位だった」
- 「つわり辛いなか会社に挨拶に行って、帰りの電車で具合が悪くなったことがある」
4. 社会的・文化的な見解
- 「つわりの原因が分かっても、男性は「つわりを辛いとか言うな」等を口にしてはいけない。命を守るための大事なプロセス」
- 「日本国ではつわりは病気ではないと言い張ってきたが、この研究結果で認識が変わるかもしれない」
5. 少子化問題への影響
- 「悪阻なければあと2人産む。悪阻で1人諦めてる人たくさんいるよ、少子化対策になるかもしれない」
6. つわりの原因解明に対する否定的・懐疑的なコメント
- 「つわりの原因解明が嬉しいが、これからの妊婦さんが楽になれるかどうかはまだ分からない」
7. その他のコメント
- 「つわりの原因がわかったというニュースを見て、もっと早く知っていたら違ったかもしれないと思った」
まとめ
この記事は、つわりの原因としてGDF15(Growth Differentiation Factor 15)の関連性に焦点を当てています。GDF15は、人体内に通常存在するホルモンで、妊娠悪阻(重度のつわり)との関連が新たに明らかになっています。胎盤中のGDF15値が上昇することが妊娠悪阻と関連しており、これにより母体には激しい吐き気、嘔吐、体重減少、電解質異常などが引き起こされることがあります。
GDF15はエネルギー恒常性、体重、炎症、腫瘍成長の調節に関わっています。通常、人体のほとんどの細胞組織では低レベルですが、胎盤では豊富に存在し、妊娠中に重要な役割を果たす可能性が示唆されています。
ケンブリッジ大学の研究チームは、妊娠初期の女性が催奇形性因子を含んだ食物や感染性微生物を摂取するのを防ぐために、胎盤のGDF15濃度が高くなるという仮説を立てています。これは、妊娠初期の女性の食嗜好の変化と関連があるとされています。
また、GDF15が慢性的に高い人はつわりの症状が少ないとされており、このホルモンが肺疾患やミトコンドリア病の診断バイオマーカーとしての可能性も持っています。
一般の反応からは、つわりの原因が解明されたことへのポジティブな反応、研究の進展に対する期待、個人的な経験との関連、社会的・文化的な見解、少子化問題への影響、懐疑的なコメントなど、さまざまな視点からの意見が集められています。これらのコメントは、つわりの原因解明が多くの人にとって重要な意味を持っていることを示しています。