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最新2024年!日本耐震基準の完全ガイド

  • 2024年1月21日
  • 2024年1月21日
  • 生活

耐震基準の基礎知識

日本の耐震基準の歴史

日本の耐震基準は、関東大震災の翌年である1924年に始まりました。この大震災を教訓に、建築基準法が制定され、耐震基準が設けられました。その後、日本は度重なる大地震の経験を基に、耐震法を進化させてきました。1981年には新耐震基準に改正され、その基準は現在も適用されています。2000年には更に厳しい耐震基準への改正が行われ、耐震等級という概念が導入されました。

  • 1924年:旧耐震基準制定(1923年の関東大震災を受けて)
  • 1981年:新耐震基準制定(1978年の宮城県沖地震を受けて)
  • 2000年:現行耐震基準(1995年の阪神淡路大震災を受けて)

旧耐震基準と新耐震基準の違い

旧耐震基準では、数十年に一度発生する震度5程度の中規模地震に耐えられる設計が主でしたが、それ以上の大地震では倒壊するリスクがありました。一方、1981年に施行された新耐震基準では、震度5程度の中地震での軽微な損傷を超えて、震度6強程度の大地震でも建物が倒壊・崩落しないよう設計されるようになりました。新耐震基準は一次設計と二次設計の二段階で耐震チェックを行い、より高い耐震性を確保するようになりました​​​​。

新耐震基準と現行耐震基準の違い

現行耐震基準では新耐震基準をさらに強化し、耐震等級という概念が導入されました。耐震等級1は新耐震基準に準ずるもので、等級2は耐震等級1に1.25倍、等級3は1.5倍の力に耐え得る住宅性能を規定しています。これにより、より高い耐震性を求める場合に、建物所有者が選択できるようになりました。

耐震基準の重要性

地震国日本では、耐震基準を理解し、適切な対策を講じることが非常に重要です。特に建物を新築する際や、既存の建物の耐震性を確認する際には、最新の耐震基準に基づいた設計や診断が求められます。また、適用される耐震基準は建築確認日によって異なるため、その確認も重要です​​。

最新の耐震基準とその特徴

新耐震基準(1981年)

新耐震基準の定義

新耐震基準は、宮城県沖地震を受けて、1981年に導入されました。この基準は、震度6強程度の大地震でも建物が倒壊・崩落せず、人命や財産を守ることを目的としています。新耐震基準では、震度5程度の中地震では軽微なひび割れ程度にとどまり、建物は損壊しない基準が設けられています​​。

新耐震基準の耐震チェック

新耐震基準においては、「一次設計(許容応力度計算)」と「二次設計(保有水平耐力計算)」の二段階にわたる耐震チェックが行なわれます。一次設計では、震度5程度の中規模な地震でも建物が倒壊しないことを検証し、二次設計では、震度6強から7の大規模な地震においても建物が倒壊・崩落せず、内部の人命や財産を守れることを検証します​​。

現行の耐震基準(2000年基準)

現行耐震基準の定義

阪神・淡路大震災を受けて、建築基準法は2000年に大きな改正を受け、以降の耐震基準は「現行の耐震基準」または「2000年基準」と呼ばれています。現行の耐震基準では、新耐震基準からさらに規制が強化されており、耐震等級という概念が導入されました。

耐震等級との関係

耐震等級は、耐震性を数値化したもので、1級から3級の3段階に分かれています。耐震等級1は新耐震基準に準ずるもので、等級2は耐震等級1に1.25倍、等級3は1.5倍の力に耐え得る住宅性能を規定しています。

耐震等級3の家は、例えば壁の配置や量、柱や梁の強度などが、標準的な耐震基準よりも厳格に設計されています。これにより、地震の際の建物の揺れがより効果的に抑制され、構造体への負担が軽減されます。たとえば、通常の耐震基準では耐えられる揺れの限界が震度6弱である場合、耐震等級3の家では震度7に近い揺れにも耐える能力を持つことが期待されます。

耐震基準や耐震等級の確認方法

耐震基準の確認方法

  • 確認通知書と完了検査済証の確認: 建物の耐震基準は、「確認通知書(副)」や「完了検査済証」に記載されている建築確認申請日によって判断されます。これらの書類は、建物の図面などと一緒に保存されていることが多いです​​。
  • 新耐震基準の確認: 新耐震基準は1981年6月1日以降に適用されます。建物の建築確認日が1981年6月1日以降の場合、新耐震基準を満たしていると言えます。ただし、旧耐震時代の建築物でも新耐震基準を満たす場合もあるため、専門家による耐震診断を受けることが推奨されます​​。
  • 注意点: 耐震基準は建築確認申請日によって決まります。新耐震基準となった1981年6月1日以降に完成した建物が、必ずしも新耐震基準に従っているとは限らないため、建築確認証や検査済証に記載された建築確認申請日で確認する必要があります​​。

耐震等級の確認方法

  • 住宅性能評価書の確認: 自宅の耐震等級を確認する主な方法は、新築時に作成される「住宅性能評価書」をチェックすることです。この書類は、第三者評価機関が住宅の性能を評価したもので、耐震等級が含まれています。ただし、この書類の作成は必須ではなく、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は最低でも耐震基準1を満たしているとされています​​。
  • 耐震等級の取得プロセス: 新築時の耐震等級の認定は任意で、建築後に耐震等級の認定を受けたい場合は「既存住宅の住宅性能評価書」の作成を依頼する必要があります。これには10~数十万円程度の費用がかかることもあります​​。

耐震基準適合住宅のメリット

安全性の向上

耐震基準適合住宅は、震度6強程度の大地震でも建物が倒壊・崩落せず、内部の人命や財産を守ることが可能です。新耐震基準では、震度5程度の中地震での軽微な損傷を超えて、大地震にも倒壊・崩落しないよう設計されています​​。

税制優遇

耐震基準適合証明書を取得することにより、住宅ローン控除や不動産取得税・登録免許税の減税、地震保険の割引など税制上の優遇措置を受けることができます。これにより、経済的なメリットも得られます​​。例えば耐震等級を取得すると、地震保険料の割引を受けることが可能です(耐震等級1で10%、耐震等級2で30%、耐震等級3で50%の割引)​​。

既存住宅の耐震改修ガイド

耐震診断と改修の必要性

1981年以前に建てられた住宅、特に木造住宅は耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強工事を行うことが推奨されます。2000年以前に建築された木造住宅も同様です。リフォームで壁を撤去したり、1階の外壁が減ったりした場合、耐震性が損なわれることがあるため、耐震診断が必要になります​​。

補助金制度と税制優遇

国や自治体では、耐震診断や耐震改修のための補助金制度を提供しています。これにより、費用の負担が軽減されることが多いです。また、耐震改修促進税制による所得税控除や固定資産税の減額といった税制優遇も受けられます​​。

耐震補強の工事内容

耐震補強には、接合部の補強、屋根の軽量化、壁の配置バランスの整備など多様な方法があります。費用対効果を考慮して最適な工事を選択することが重要です。耐震補強の平均施行金額は161万4,920円であり、中央値は140万円となっています​​​​。

工事期間と仮住まい

耐震補強工事の期間は内容により異なりますが、一般的には10日から約1か月程度が目安です。大規模な工事の場合は仮住まいが必要になることもあります​​。

耐震診断の詳細

  1. 耐震診断の方法:
    • 一般診断法: 主に建築士が行う一般的な方法です。
    • 精密診断法: 壁の一部を解体して調査する必要があるため、費用が高くなることがあります。非破壊調査である一般診断法が推奨されています​​。
    • 3次診断: 柱、壁、梁を考慮した診断方法。設計図面が必要で、高層建築や鉄骨造などに用いられることが多いです​​。
  2. 耐震診断の目的:
    • 建築物の耐震性能の評価。
    • 大地震時の耐震安全性の評価。
    • 耐震改修の要否の判定​​​​。
  3. 耐震診断の流れ:
    • 予備調査:建築物の概要や設計図書の確認。
    • 現地調査:敷地や建物の状況調査。
    • 耐震性能の評価:建物が保有する耐震性能の評価​​。
  4. 診断結果に基づく対応:
    • Is値0.3未満: 倒壊・崩壊の危険性が高く、早急な改修・補強が必要。
    • Is値0.3以上~0.6未満: 地震による大きな被害が予想され、改修・補強が必要​​。
  5. 耐震診断のコスト:
    • 精密診断の場合、技術者、大工、機材費用等が含まれ、合計で約24万円程度になることがあります​​。
    • 地方公共団体によっては、耐震診断に補助金制度が設けられている場合があります​​。
  6. 耐震診断の専門家:
    • 一般財団法人日本建築防災協会や社団法人住宅リフォーム推進協議会など、様々な機関で耐震診断を行っています​​。

耐震基準を超える住宅の未来

住宅の安全性向上に向けた法改正と構造計画の重要性

2025年4月から施行予定の建築基準法・建築物省エネ法改正は、住宅の省エネルギー化を促進する要素ですが、耐震性能にも注意が必要です。住宅建設では、より高い信頼性を持つ耐震等級3の必要性が指摘されています。また、省エネ基準の義務化やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及とともに、構造の審査体制の強化や壁量に対する規定の見直しが行われています​​。

耐震・制震・免震の組み合わせ

現代の住宅では、単に耐震性を高めるだけでなく、制震や免震を組み合わせることにより、より地震に強い家づくりが可能になります。木造住宅では、建物の強度を高める耐震に加えて、制震や免震を行うことで、地震時の被害をさらに減らすことができます​​。

土地選びと耐震等級の重要性

家を建てる際には、地震に強い土地選びが重要です。耐震等級は1よりも2、2よりも3を選んだ方が耐震性は高くなります。ただし、耐震等級を上げるには一定のコストがかかります。資金に余裕があるときに耐震等級を上げることを検討すると良いでしょう​​。

構造タイプごとの耐震性の特徴

家の構造タイプには、木造、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)があり、それぞれ耐震性に特徴があります。耐震等級や設計(プラン)に応じて適切な構造タイプを選ぶことが重要です​​。下記は構造タイプ毎の特徴です。

  1. 木造:
    • 柔軟性があり、地震のエネルギーを効果的に吸収し分散させる。
    • 最新の工法(例えば木造軸組工法、木造枠組壁工法)を用いると、耐震性を高めることが可能。
    • 一般的に鉄骨造住宅や鉄筋コンクリート造住宅に比べると耐震性は低いが、水準は高くなっている​​​​。
  2. 鉄骨造 (S造):
    • 梁や柱、床、壁、屋根などの構造体を工場で造り、現場で組み合わせるプレハブ工法が採用される。
    • 重量鉄骨造では、柱と梁だけで建物を支えるラーメン構造により、広い空間や大きな窓などの開放感のある間取りが可能。
    • 地震が起きると、使用される鉄がしなり、エネルギーを吸収するため、優れた耐震性を発揮する。
    • 適切なメンテナンスを施せば、耐用年数が非常に長い​​。
  3. 鉄筋コンクリート造 (RC造):
    • 鉄筋の引っ張る力に強い特徴と、コンクリートの圧縮される力に強い特徴を兼ね備え、高い耐震性を確保。
    • 地震や嵐に対して強い建物。
    • 建築費が高く、工期も長い。コンクリートにひび割れが生じると鉄筋に錆が生じ、強度が低下するリスクがある。
    • 重量があるため、軟弱な地盤では地盤改良が必要になることがある​​​​。
  4. 鉄骨鉄筋コンクリート造 (SRC造):
    • 鉄骨鉄筋コンクリート造は、RC造の特性に加え、鉄骨の特性を組み合わせた構造。
    • RC造と同様に、耐震性、耐久性、耐火性に優れているが、RC造よりさらに強固な構造を持つ。
    • 大規模な建築や高層建築に適しており、大空間の構築が可能。
    • コストや工期はRC造と同様に高い傾向にある。

過去の地震で耐震基準毎に倒壊した建物の割合

熊本地震

  1. 新耐震基準の建物:
    • 熊本地震では、新耐震基準の建物も倒壊しました。一部の新耐震基準に基づいて建てられた建物は、震度7の揺れが2回も発生したことが原因で倒壊しました。
    • 益城町中心部における調査では、新耐震基準の建物1,042棟中80棟の約7.7%の建物が倒壊しました。新耐震基準で倒壊した建物の多くは、筋交いの接合が不十分であったことが原因と見られています​​。
  2. 旧耐震基準の建物:
    • 旧耐震基準の建物については、熊本地震において大きな被害を受けました。益城町中心部では、旧耐震基準の木造建物702棟中225棟の約32.1%が倒壊したと報告されています​​。
    • 旧耐震基準の建物は、建設年代が古いこと、設計基準を超える入力地震動、地盤・基礎の変状(断層運動によるズレも含め)、腐朽や施工不良などが倒壊の要因と考えられています​​。

令和6年能登半島地震

  1. 新耐震基準の建物:
    • 令和6年能登半島地震では、新耐震基準の建物も倒壊しました。これは能登地方でここ数年地震が頻発し、ダメージが蓄積されていた可能性が考えられています。
    • また、マンホールが1m上がるほどの想定外の液状化により、新耐震基準の建物が崩壊していると考えれています。液状化により7階建ての鉄筋のビルが横倒しになるほどでした。
  2. 死者のほとんどが家屋倒壊が原因:
    • 2024年1月20日までに公表された死亡者は100人であり、約9割にあたる91人が家屋倒壊によって亡くなっていることが分かりました。
    • 阪神淡路大震災で神戸市内で亡くなった人の死因は、建物倒壊に伴う窒息が53.9%、圧死が12.5%であったため、阪神淡路大震災と同様家屋倒壊により亡くなった人が多いと見られています。

SNS上での反応

SNS上では、耐震基準に関する意識、政府の対応、経験と実例に基づくコメントを行っております。下記はコメントの一例です。

耐震基準の意識と認識

  1. 「旧耐震基準の家はやはり危険」
  2. 「新耐震基準の家なら1度なら震度6強程度でも倒壊はしないとされ、命を失う危険は少ない」
  3. 「古い木造住宅は趣はあるけど補強されていなかったら震災時にそのまま棺桶になる可能性が高い」
  4. 「新耐震基準の家が安全かどうか、これは人それぞれの考えによります」
  5. 「耐震基準以外に木造住宅で倒壊しない基準ってなんだろ…」

政府の対応と提案

  1. 「旧耐震基準の家の補強工事に関する国からの補助の増額を提案することが国会議員の仕事」
  2. 「新耐震基準(昭和56年5月31日)以前に建てられたものには耐震補強として県と市町から補助金が出てますね」

経験と実例に基づくコメント

  1. 「福岡西方沖と熊本地震の2度震度5経験して耐えてるから旧耐震基準でも行けると見ればいいのか」
  2. 「能登半島地震での倒壊は古民家が圧倒的に多い」
  3. 「去年、自治体の耐震診断やってもらって1階部分が大きな地震来たら恐らく潰れるという診断された」

まとめ

この記事では、日本の耐震基準の進化とその重要性について詳細に解説しています。1924年に設定された旧耐震基準は、中規模地震に対する基本的な耐性を持っていましたが、より大きな地震に対しては不十分でした。1981年の新耐震基準の導入により、震度6強程度の大地震にも耐えられるよう設計が強化され、建物は震度5程度の中地震での軽微な損傷にとどまるようになりました。2000年にはさらに厳格な耐震基準が導入され、耐震等級という新しい概念が取り入れられました。

この記事は、耐震基準の確認方法や耐震等級の取得プロセス、耐震診断の詳細も提供しています。耐震基準適合住宅は安全性が向上し、税制優遇のメリットもあることを強調しています。既存住宅の耐震改修に関しては、補助金制度や税制優遇、具体的な工事内容や期間について詳細な情報を提供しています。

さらに、記事は2025年の建築基準法・建築物省エネ法改正に触れ、耐震・制震・免震の組み合わせによる住宅の安全性向上の重要性を説明しています。また、構造タイプごとの耐震性の特徴や、過去の地震での耐震基準毎の建物倒壊の割合についても触れ、SNS上での耐震基準に関する意識や反応を紹介しています。

全体的に、耐震基準の歴史、現在の基準とその確認方法、耐震診断の重要性、耐震基準に準ずる住宅のメリット、および今後の住宅安全性向上への方向性について、包括的かつ詳細に解説しています。

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